指紋鑑定ってどんな時に使うもの?そのメリットとは

これまで、個人を特定する有効な手段でありながら、一般では殆ど使用されていない方法が「指紋鑑定」でした。しかし、最近では民間の指紋鑑定業者も増えており、指紋鑑定は身近なものに変化しています。
そこで、今回の記事では指紋鑑定とそのメリットについて、詳しく解説していきたいと思います。
民間指紋鑑定業者とは?

これまでの指紋鑑定は、警察や国家機関などの特殊機関のみが行う鑑定方法で、一般的に行えるものではありませんでした。しかし、近年、一般の人が気軽に鑑定を行える「民間業者」が増えてきたため、指紋鑑定は一般的な鑑定方法の一つとして認知されるようになりました。
民間指紋鑑定業者
指紋鑑定を行う人のことを「指紋鑑定士」と呼びますが、この指紋鑑定士の多くは、警察や科捜研などの機関で経験を積んだプロフェッショナルな人々です。数々の経験を経た後に「プロの鑑定士」として民間で活動するようになり、「民間指紋鑑定業者」として活動しています。民間ではありますが、元々現場で経験を積んだプロの方々なので、高い精度と鑑定成功率を誇っているのが特徴です。
ただし、民間指紋鑑定業者の中には「素人レベルの鑑定士」が運営する鑑定業者や、詐欺を目的とした業者もあるため、依頼者側で業者を選定する必要があります。そうした業者の見分け方については後ほど解説致します。
最新の技術を取り入れている
民間指紋鑑定業者の多くは、以前現場で活躍していたプロの鑑定士であることをご説明しましたが、民間鑑定業者の中には、「独自の解析技術」を開発しているところもあり、海外で採用されている機械などをいち早く導入する業者もいます。
警察や科捜研といった「結果の信頼性が求められる」世界では、最新鋭の技術を投入したいのはもちろんですが、それに伴った「正確性と信頼性」が必要になります。そのため、最新の方法はすぐに試すことができず、時間が掛かってしまう可能性もあるのです。しかし、民間鑑定業者であれば、そうしたリスクを犯すことは「自己責任」となるため、鑑定士の裁量で判断することができます。その結果、どこよりも精度が高く、早い鑑定を可能にすることも可能なのです。
そういった意味で、民間鑑定業者には可能性があると言えるかもしれません。
詐欺を目的とした鑑定業者
指紋鑑定士として活動している方々は、数多くの現場で経験を積んだ正真正銘のプロです。しかし、指紋鑑定士には「国家資格」が存在しないため、そうしたプロの方々と同等に「素人の鑑定士」でも指紋鑑定士を名乗ることができてしまうのです。
その結果、何の知識もない素人が、詐欺目的で指紋鑑定士を装い、法外な鑑定金額を要求するような問題も起きています。また、鑑定内容は「何の科学的根拠もないデタラメ」が多く、無知な依頼者を洗脳して騙すような行為も横行しています。こうした問題点から、民間鑑定業者を選定する際には注意が必要です。
指紋鑑定を依頼するメリット

「自分の私物が不正に使用されている」「怪文書や嫌がらせの手紙が届いた」などの場合、相手が分からないため、対応するにも困ってしまうことが多いと思います。そういった際に有効なのが指紋鑑定です。指紋から人物を特定することで、罰則や法的措置などの対応をとる事が可能になるのです。
訴訟に使う証拠として採用できる
指紋鑑定には、指紋照合を目的とした一般鑑定と、裁判などの訴訟で利用する証拠として使う鑑定の二つが存在します。一般鑑定であれば、指紋照合が目的であるため、鑑定書類は簡易的なものが多く、費用も抑えられています。(鑑定精度に違いはありません)しかし、訴訟の証拠として使用する際には、証拠になりえる鑑定証明書を発行したり、裁判で想定される問いに対する回答に備えた、鑑定説明も必要になってきます。
そうした場合でも、実際の現場で活動してきた鑑定士であれば、手順を踏んで作成してくれるため、大きなメリットと言えます。
人物特定の決定的な証拠になる
探偵による調査で、写真や動画を証拠として撮ったとしても、対象人物が言い逃れをしてしまう可能性があります。しかし、指紋鑑定であれば、「本人がその場所で接触しなければ」できない証拠であるため、言い逃れをすることが出来なくなります。また、指紋の劣化具合から、接触した時間や状況、対象人物の状況がある程度想定できるため、証拠能力はさらに高まります。
他の調査と複合的に行うことで、「逃げ場のない決定的な証拠」として利用することもできるでしょう。
指紋鑑定にデメリットはないの?

人物特定の証拠として強力な力を示す指紋鑑定ですが、いくつかのデメリットも生じます。このデメリットはメリットと表裏一体になっている部分も多く、指紋鑑定を考えている人には悩ましい部分になるかも知れません。
対象人物の指紋採取(資料)
民間の指紋鑑定業者には、警察機関のような指紋データベースがありません。そのため、指紋鑑定を行うためには、指紋鑑定する資料と、原本サンプル(犯人と思われる指紋)を用意する必要があります。鑑定してもらう資料に関しては簡単に用意できると思いますが、原本サンプルに関しては、犯人の目星がついていない場合、用意することが出来ません。また、複数の相手がいる場合、全ての相手の指紋を採取するのは非常に困難です。
こうした理由から、指紋鑑定は最初に行うものではなく、「ある程度、犯人が特定できた」時点で行うのがおすすめです。探偵に調査依頼したのちに、決定的な証拠として指紋鑑定を行えれば、より確実と言えるでしょう。
鑑定方法によっては高額な費用が発生する
指紋照合だけあれば、リーズナブルな費用で鑑定を行ってもらうことが可能ですが、複数の指紋照合や、裁判や訴訟を見据えた「本格的な鑑定結果」を依頼する場合には、非常に高額な費用が発生することがあります。
また、鑑定には2週間〜1ヶ月ほどの日数も要することから、指紋鑑定を依頼する際には、予め余裕を持って準備しておく必要があります。こうした理由から、指紋鑑定はあくまで「補助的な鑑定」と考えた方がいいのかも知れません。費用対効果はあまり高くありません。
まとめ
いかがだったでしょうか?今回は指紋鑑定とそのメリットについて解説させて頂きました。今後も指紋鑑定は一般的な鑑定方法の一つとなり、浮気や不倫の証拠としても利用されることになるでしょう。しかし、その一方で悪徳な業者も増えているため、依頼者はしっかりと吟味して「信頼のできる指紋鑑定業者」を見つけるようにしてください。